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COOL FRYER

お知らせ
2020/06/06

3件目特許 水滴や微細な揚げカスを沈殿させる対流を生むヒーターと制御とは?

3件目特許が成立したので、この技術について説明したいと思います。

1.そもそも揚げ鍋とフライヤーの違いは何なのか

フライヤーという調理機械はなぜ存在するのでしょうか。フライパンでも普通の鍋でも揚げ調理はできます。

鍋とフライヤーの1つ目の大きな違いは、設定した調理温度を自動的にキープしてくれるという機能です。ですからガスで揚げ鍋を加熱する時のように温度が上がりすぎてしまうということが無いわけです。

ただし加熱する熱量の不足したフライヤーであれば温度はなかなか上がらず、特に能力以上の食材を一度に入れてしまうとひどいことになりますから注意が必要です。

鍋とフライヤーの2つ目の大きな違いは、鍋は底から加熱するのに対してフライヤーは油の中段で加熱を行うという特長があります。noteを始めた頃に書いたこちらの投稿の図を見てください。

なぜ中段で加熱するのかと言うと、投入された食材からは多くの水分や揚げカスが発生します。これらを沈殿させることによって油ハネやオイルミストが減少し、油の劣化が緩やかになって油が長持ちし、炭化した固形物が揚げ物に付着することも無いのでおいしさも向上するというわけです。

沈殿しやすいように、また沈殿した水分や固形物が再び舞い上がってしまわないように、ヒーターより下の部分(クールゾーンと呼びます)の温度を低く保っているというわけです。

クールフライヤーというネーミングの理由の一つは、このクールゾーンに拘ったフライヤーであるところから名付けています。

2.なぜ沈殿性能が向上するとフライヤーの性能が上がるのか

鍋との違いを確認しました。フライヤーにはクールゾーンという領域があって、この領域の温度が低く安定していると沈殿性能が上がるという話なのですが、では沈殿と油の劣化との関係をもう少し見てみます。

下の写真は一般的なフライヤーの底部の様子です。真っ黒というほどではありませんがかなり黒褐色です。もっと真っ黒な油を見たことのある人も多いのではないでしょうか。

MEF底部写真201710212

ところがこの黒褐色の油と揚げカスをボトルにとって1年以上放置したところ、下の写真のようになりました。

M5保存油写真_20190612

つまり黒褐色の油の色は劣化によって変色したわけではなく、微細な固形物が浮遊している為の色だったわけです。

しかもこのボトルの油は1年以上放置したにも関わらず、透明な部分の油は1年以上前の油よりも劣化度が低い状態であることがわかりました。

つまり黒褐色の油は油が変色してしまったわけではなく、微細な固形成分が炭化した状態で浮遊しているために見えていた色なのです。

ですから炭化した微細な固形物をいかに沈殿させるか、と言うよりもそれ以上に、微細な浮遊物がなければ炭化も進みにくいわけなので、いかに固形物を沈殿させるかということが課題となります。

微細な固形物が沈殿しにくい状況を作る原因の一つが気泡です。温度の高い状態の油に食材を投入すると一気に水分がでて気泡が沸き上がります。これを避けるためにはこの水分(水滴)も沈殿させてしまう必要があるわけです。

このnoteのタイトル画像がまさに沈殿する水滴の写真です。この写真の上部では170℃でもやしを調理しているところです。

水滴落下

このように水滴を確実に沈殿させることができれば油ハネも殆どなくなり、気泡が油槽を撹拌することがなくなって微細な固形成分も沈殿しやすくなるというわけです。

クールフライヤーでは下の図のように、油槽の下部を水冷することによって水分や微細な固形成分を落下沈殿しやすくしています。ここまでが第1、第2の特許で実現していることです。

クールフライヤー冷却構造2

3.3件目の特許。さらに沈殿性能を上げるヒーター構成とは

ここからがようやく3件目の特許内容になります。

上の図にには6本のヒーターが描かれていますが、ヒーター表面が熱くなりすぎると油は劣化しますから、加熱能力を高めたい場合は8本にしたくなります。

ところが水平に8本並べてしまうと間隔が狭くなり、水滴がこの間を通過できにくくなって気泡が増加し、その結果微細な揚げカスも沈殿できにくくなることがわかりました。

そこで考えたのが下の図のようなヒーター構成です。

凹部を有する落下防止構造

このようにすればヒーターの間隔を広く取りながら、ヒーターの表面積も大きくすることが可能です。実際にこのようにしたことで油ハネはさらに大きく減少しました。点線は食材の落下を防止する構造です。

上の図のヒーターでの実験は成功だったのですが、その理由はヒーター間隔が広くなった事だけではありませんでした。

下の図のように側部ヒーターの熱量が大きくなるため大きな上昇対流が生じ、相対的に熱量の小さい中央部で落下するため、この対流に乗って水滴や微細な揚げカスの沈殿性能が上がったことも原因でした。

側部・下部ヒーター構成

4.ヒーター制御により、油槽中央部に下降対流を生む仕組み

だったら更に性能を上げることができそうだと考えました。

つまり設定温度まで油温が上昇したあとは、食材が投入されるまで大きな熱量を必要としないので、側部ヒータのみで運転するのです。すると中央部での下降対流はさらに顕著になります。

側部・下部ヒーター別制御

そこへ食材が投入されると油の温度が急激に下がります。この温度低下を検知すれば食材が入ったことを認識できるわけです。

ヒーター制御イメージ

ここからは大量の熱量が必要ですからフル加熱に移行するのですが、ここでディレイ時間を設けて中央部のヒーターを加熱せずに我慢。

この間に大量の水分が放出されるので、それが沈殿するまで待ってからフル加熱を行うという制御を行います。

この制御によって油ハネはほとんど皆無というほどに減少。微細な揚げカスも沈殿するので、油の劣化も抑制されるというわけです。

油の劣化要因の一つに加水分解がありますが、高温状態で油と水(水蒸気)が出会うときに劣化が進行するわけですので、ここでも油ハネが少ないことと油が劣化しない事とがつながっています。

3件の特許技術を実装したクールフライヤーの素晴らしい性能をイメージして頂けましたでしょうか。早く製品として届けられるようにがんばります。