当社では、油の劣化、油ハネなど、揚げ調理における様々な課題の主要因が、「揚げカスや不純物の炭化」と、「水分が油槽内で加熱され、気化すること」であることを突き止めました。
この二つの要因を、「水分・揚げカス等の不純物を、素早く油槽底部に沈殿させることで、水分が加熱されて気化し、微細な揚げカス等が炭化することを防ぐ」ことで解消したのが、クールフライヤーの構造と制御技術です。
写真(左)は、一般フライヤーで使用済の、真っ黒な劣化油です。このような油を、約1年間放置すると、写真(右)のように、劣化度が低減した透明な油と、黒褐色の沈殿物に分離します。この黒褐色の沈殿物は、揚げカスや不純物が炭化したものであり、油劣化の主な要因となるものです。
同時に、このように揚げカスや不純物が炭化することは、フライヤーの運用において、毎日油を濾過する必要が生じたり、炭化した揚げカスが自然発火することによる火災のリスクにもつながります。
油ハネは、食材から出た水分が加熱され気化することで発生します。
油ハネはオイルミストと共に周辺の清掃を煩雑にし、火傷のリスクを発生させるなど、揚げ調理の様々な課題のひとつと言えます。
また油ハネの原因である気泡は油槽を常時攪拌しますので、揚げカス等微細な固形物が沈殿できず炭化が進行してしまいます。
クールフライヤーでは食材から出た水分の多くを沈殿させるので気泡が少なくなり、固形物の沈殿が進行。底部は水冷構造により冷涼に保たれているため炭化は進行しません。
揚げ調理の課題をまとめると、下図のようになります。これらの要因が、揚げ調理において幅広い課題の原因となっていることが分かります。
揚げカス・不純物の炭化 | ・油に浮遊して劣化の主要因になる ・揚げカスの自然発火による火災のリスクを産む ・毎日油を濾過する必要が生じる |
---|---|
水分の加熱による油ハネ | ・調理中の火傷のリスクを産む ・周囲が油まみれになり、清掃が煩雑となる |
揚げカス・不純物・水分が油槽内で加熱されて、炭化したり気化して油ハネを起こすことが、揚げ調理のさまざまな課題を生む要因です。 クールフライヤーは、独自の構造と加熱制御により、水分を素早く油槽下部の低温油槽に沈殿させます。すると気泡が減少して揚げカス等の微細な固形物が沈殿しやすくなり、炭化が進行しないことで油の劣化の進行が抑えられます。また高温で水分と油が接触する機会が減って加水分解による油の劣化も抑制されます。
クールフライヤーの構造は、下図のように、油槽の底部を水で覆い、ヒーター直下の油(低温油槽)を水冷する仕組みになっています。これにより、調理中に発生した水分や微細な揚げカスを低温である底部にすばやく落下沈殿させることが可能です。(特許取得済)
また独自の自動注水制御とオーバーフロー構造により底部の冷却力を保ち、冷却水の節約を実現しています。(特許取得済)
クールフライヤーは、二重構造のヒーターを用いることで、油槽内に下降対流を発生させます。また食材は投入直後に多くの水分を放出しますが、クールフライヤーではこれを自動で検知し独自の加熱制御により、揚げカス・不純物・水分を素早く油槽底部に沈殿させています。(特許取得済)
これらの技術により、クールフライヤーは、「揚げカス・不純物炭化の抑制」「高温で水と油が接触することによる加水分解の抑制」、「水分の加熱・気化による油ハネの抑制」を実現、これらにより揚げ調理のさまざまな課題を同時に解決することを可能にしました。