INTERVIEW

羽田市場株式会社様

“今朝獲れの鮮魚”は「具の中心を“レア(半生)”に揚げたい」
骨切りした鱧や海老は「具の中心まで火が通っても衣が“サクサクッ”と、
具材は“ふわっふわ”に揚げたい」

池袋サンシャイン60通りの超一等地に出店が決まり、新たに業態を模索した末に辿り着いたのが“天ぷら”でした。

飛行機や新幹線、高速バスなどを利用し、独自の鮮魚輸送を開発した羽田市場の武器は「超速鮮魚®」。
今まで出店してきた既存店舗の業態としては鮮魚居酒屋、鮨店、回転寿司など“超新鮮なお刺身”や“お寿司”がウリです。

美味しい天ぷらを揚げることはそう簡単な事では無い

鮮度の羽田市場が考える新業態開発のコンセプトは“超新鮮なお刺身用のお魚をレアな天ぷらで召し上がっていただく”と決定し、粛々と開店までの準備を進める予定でした。

“天ぷらなんて簡単なもの”と、最初は軽く考えていて“良い素材”、“良い粉”、“良い油”さえあれば、大手天丼チェーンのようにコンベヤー式オートフライヤーを導入すれば、誰にでも美味しい天ぷらが出来ると思っていました。

そして試作を進めていくうちに“美味しい天ぷらを揚げることはそう簡単な事では無い”という事に気がつきました。すでに試作開始から1ヶ月以上が経過していましたが(笑)。

新業態“天ぷら”は試作の段階で暗礁に乗り上げてしまいました

導入予定だったベルトコンベヤー式オートフライヤーは、“素人でも失敗しない揚げものができる”素晴らしい機械ですが、弱点は素材の厚みや大きさ・重量を、油槽を通過する時間に合わせて素材を揃えなければいけないことでした。

当店の天丼は、国内の生産者から集荷した飛びっきり新鮮で肉厚な「鱧(はも)」、甘味が強くて食感の良い海老「ロイヤルシュリンプ」、お刺身用の「ほたて貝柱といかのかき揚げ」、卵の黄身が“とろっとろ”の「超半熟卵」、新鮮な「大葉」、が天丼のメイン具材です。

ところが、鱧の揚げ時間は5分、かき揚げは2分30秒、海老が2分、超半熟卵が1分、大葉が30秒です。

この揚げ時間の差をコンベヤー式オートフライヤーで埋めることは不可能です。

天ぷら職人もいないし、さてどうしたものかと…。

新業態“天ぷら”は試作の段階で暗礁に乗り上げてしまいました。

クールフライヤー社からデモ機をお借りして毎日試作と試食の日々

それ以降、またまた天ぷらの商品開発はイチから出直しとなり、各フライヤーメーカー様のテストキッチンを訪ねたり、デモ機をお借りしたりと、天ぷらの開発は非常に時間の手間の掛かる作業となりました。
既に商品開発着手から2ヶ月経過していました。

日々悶々と開発を進める中、ひょんなご縁から共通の友人を介してクールフライヤーの山田社長と知り合うことが出来、すぐに意気投合!

早速、クールフライヤー社からデモ機をお借りして毎日試作と試食の日々を過ごしました。

他社からお借りしたフライヤーとは正に一線を化す物

毎日のように天ぷらを食べていて先ず驚いたのが「長時間試作を繰り返した油がほとんど劣化していない」ことでした。社員に「毎日油を交換しているの?」と聞くと「いいえ、追油しているだけです。」との返事がありました。

さらに驚いたのが揚げはじめから揚げ終わりまで、ほぼ均一な仕上りになっており、他社からお借りしたフライヤーとは正に一線を化す物でした。

非常にコンパクトな上に生産性が高く、油の交換も必要なく、掃除が手軽

すくい網では取り切れない天かす、水滴などが下部水槽に落下沈殿するので、揚げカスの炭化が進まず揚げ油の汚れが非常に少ないこと。

油ハネもほとんど無いので従業員の火傷の心配や、フライヤー周囲の油汚れを激減させるメリットも肌で感じることができました。
弊社の既存店舗でもいつも店舗の家主さんに色々と突っ込まれるのが「オイルミストや油煙など」による建物や設備の老朽化促進。

フライヤーを店に設置することは、様々な面でのコスト増(油の交換・清掃・建物の老朽化)・リスク増(火傷などの負傷)となり、最近では大手イタリアンレストランのように「フライヤー不要調理」を進めている会社も多いです。

そのような時代背景の中でのクールフライヤー導入の決め手は、非常にコンパクトな上に生産性が高く、油の交換も必要なく、掃除が手軽なことでした。

そして我々飲食業界人が最も大事にしなければならない「天ぷらの美味しさ」を究極にまで高められる機械だった言うことです。

これからもこのクールフライヤーを武器に、全国展開を狙っていきます!

先日お昼に、天丼で有名なお店で天丼をテイクアウトして食べて見たところ、たまたまだったかも知れませんが、美味しそうで食べたくて買ったのに、「油が多いな」と感じてしまい、少し残してしまいました。(けして年齢のせいではないはず!)

これ程の有名店でも揚げ油のコントロールが難しいんだなと肌で感じる出来事となりました。

天ぷらの超有名店(銀座)のご主人は“天ぷらは蒸し料理”とおっしゃいました。

衣を付けた素材を高温の油の中に放り込むことで、熱せられた衣の水分が急激に蒸発していきます。良いフライヤーと良い油の中で揚がった衣は、べっとりベトベトだった衣がサックサクになります。

これは揚げているのではなく、脱水しているのです。

しかも、脱水が完了した衣は、具材の水分が逃げるのを許さない壁となっているので、水分の逃げ場を失い脱水できない具材は、自らの水分によって蒸しあげられていく。

こうして、外はサックサク、中はふわっふわの天ぷらができあがる。
天ぷらの具材として水分の多い鱧や海老、茄子が適しているのは当然のことなんですね。

天ぷら作りの名人に言わせると、一番大切なのは「素材」、次いで「油と衣」、最後に揚げ手の「技術」ということでした。

羽田市場は「素材」の良さでは他社には絶対に負けません!

次いで「油と粉」ですが、非常に高価なごま油とキャノーラ油を独自ブレンドしておりますので、高級店にも負けない物を使っていますし、小麦粉も天ぷら用の一番高価な物を使用しています。
但し、この「油と粉」を生かすのも殺すのもそれはフライヤーの役目。
我々の業態では、クールフライヤーをうまく使えば、揚げの技術はそれほどまでに必要ないということがわかりました。
現在、当社の天ぷら業態に一番重要なコンテンツは衣は“サクサクッ”と、具材は“ふわっふわ”に揚がる“クールフライヤーである”ということで着地しています。
これからもこのクールフライヤーを武器に、全国展開を狙っていきます!

株式会社羽田市場

2014年10月設立
羽田空港を拠点に空輸を中心とした新たな鮮魚流通を構築し、一次産業でのイノベーションを目指すベンチャー企業。
2020年より日本最大の駅“東京駅”にも店舗を構え、新幹線や特急、高速バスなど鮮魚・活魚を運ぶという全く新しい物流ネットワークも構築。
市場を通さない全国の産地ネットワーク、独自の物流網、ITを強みとして、ホテル・飲食店、小売り、市場などへの卸売り事業並びに人気ECサイト“漁師さん応援プロジェクト”の運営、直営店フランチャイズ店舗での飲食事業を全国に9店舗展開。このうち池袋サンシャイン通り店が天丼主体の業態。

野本良平さん
羽田市場株式会社 代表取締役CEO

1964年 千葉県生まれ
1984年実家の業務用食材卸会社に入社。
その後、輸出商社などでの経験を積み、2006年グルメ回転寿司チェーン、2008年居酒屋チェーンや2012年飲食小売企業役員で役員を歴任。食品業界一筋35年のキャリア。
2014年羽田市場創業。
市場を介さない漁師との直接取引で、『究極の朝どれ』を実現したことが多数の全国メディアに取り上げられ、全国の飲食店・スーパー・量販店等に『朝どれブーム』のきっかけを作った。
テレビ東京『カンブリア宮殿』『ガイアの夜明け』『ワールドビジネスサテライト』等、『流通の革命児』としてテレビ・雑誌・新聞等多数のメディアに取り上げられる。

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