6月もあと10日ほどになりました。7月には現状の実験機で、劣化抑制性能を検証する実験を行いたいと考えています。
わかりやすい話として、コンビニの繁忙店での1日の調理量を再現して、どの程度油が劣化するのかしないのかを検証しようというわけです。
各コンビニチェーンによって多少の運用は異なりますが、概ね2日から4日、リトマス試験紙のようなAVチェッカーを使って交換時期を決めており、深夜に交換するのが普通のようです。
もし繁忙店を想定したテストで油交換の必要頻度が大きく伸びたら、それは大きなニュースではないでしょうか。
以前にコンビニで「注文後調理」が現実になる日、フードロスの解決手段としても有効、という投稿をしました。今回は油そのものの廃棄量削減に結びつく実験で、油の廃棄量または消費量削減ができれば、フードロスの削減そのものです。
おそらく食用油の消費量の50%以上は揚げ調理によると考えられますので、これが大きく削減できれば素晴らしいことです。
どのくらいの調理を行うか、食材や調理量を決めるために当社にも来社されたコンビニオーナーに相談に乗ってもらいました。
1店舗には通常2台のフライヤーがあるので、その半分を1台のフライヤーで調理することになります。頂いた参考情報から、最寄りの業務スーパーで手に入る食材で再構成しました。
すべて冷凍品で、1日の合計調理量は切りの良い10kgです。
ミートコロッケ 60g x 40個 2.4kg 5個 x 8回
メンチカツ 80g x 20個 1.6kg 4個 x 5回
フライドポテト 50g x 20個 1.0kg 200g x 5回
若鶏のあっさり唐揚(調理済) 2.0kg 200g x10回
鶏屋さんのチキンカツ 3.0kg 200g x15回
そしてこの調理量を最長(実働)15日間、繰り返して日々の酸価をチェックし、最終日には専門分析機関に送って他の指標と共に分析してもらいます。
これまでにも連続調理の経験はあります。一昨年のものづくり補助金で製作した試作機で、一般フライヤーとの比較実験を行ったからです。1日45回の調理をそれぞれ5日間行いました。
そのテストで油ハネ抑制性能が期待値に届かなかったので、もう一年研究に費やすことになりましたが、その時の専門機関による分析結果は酸価(簡易的にはリトマス試験紙のような試験紙で測る、あれです)=0.69でしたから立派なものだったと思います。
1年費やした結果は、【9】試作の結果は想定以下、でもそこから3件目の特許が生まれることに、に書いた通り新たな特許に繋がり、その出願内容に自信を得てnote等に情報発信を始めました。
そして今、その特許を簡易ながら実装した実験機は、油ハネ抑制性能はもちろんですが、微細な揚げカス粒子の沈殿性能が高いことで油の透明性を保つ性能は高く、油の劣化を抑える性能もさらに高くなっているのはほぼ間違いありません。
そんなわけで今日は予備実験として、若鶏の唐揚とチキンカツを購入して調理してみました。1回の調理量や調理時間、揚げかごを使用するかどうか等を決めるためです。タイトル画像はその調理の写真です。
調理しているのはチキンカツ200g。このところ毎日調理量は多くありませんが2~3時間は加熱しており、間もなく新油から100日になります。
まだ透明度を保っていますが、その理由は昨日書いた通りです。
劣化した黒褐色の油、その色の正体は?そしてクールフライヤーではなぜ透明度が保たれるか。
下の写真は「若鶏の唐揚」200gです。
それにしても揚げかごのなんと言う手作り感!と「使い込んだ」感!
本番の実験までにはもう準備が必要で時間が必要です。この自作揚げかごも新調したいところですが、どうなるか。
実験は7月上旬に開始できればと思っています。楽しみです。