2月に下記の投稿をしました。油槽壁面が焦げ付かない理由のヒントも得たと書きましたが、その内容については書きませんでしたので改めて書きます。
結論から言うと、壁面が焦げ付いたように汚れるメカニズムは以下です。
油に含まれる微細な固形成分が、油面にできる半球形の気泡によって持ち上げられて壁面に着き、これが高温による乾燥によって固着化が進み、炭化も進むことで焦げ付いたような汚れが進行する、と言うものです。
また油はねによって、微細な固形成分が壁面に飛ばされて壁面に付着することもあります。
いずれにしても油に固形成分が含まれていなければ壁面に汚れが着くことも、それが炭化して焦げ付いたような汚れが進行することもありません。
熱した新鮮な油に霧を吹いて油ハネを生じさせても、汚れが生じないことは容易に想像できると思います。
その意味では昨年11月に書いたことは正しかったと言えます。
クールフライヤーでは固形成分の多くは沈殿するので、汚れにくいというわけです。
もうひとつは、最初に書いた汚れのメカニズムによれば、油面にできる気泡や油ハネが少なければ汚れが壁面に着くことも少なく、従って壁面の汚れも少なくなるわけです。
クールフライヤーでは、大きな水滴は落下沈殿してしまい気泡は小さく少ないので、壁面が焦げ付いたように汚れることが起きにくいというわけです。
整理すると油槽の壁面が汚れない条件は以下の2つ。
①炭化した微細な固形成分が少ないこと(=透明度を保っていること)
②気泡や油ハネが小さく少ないこと
クールフライヤーが汚れにくいのは、見事にこの条件を満たしていたというわけです。
※6/21追記 (特に付着が始まると)食材の投入と引き上げによる油面の上昇・下降によって、油に含まれている固形成分が付着と乾燥を繰り返して成長します。
ただしこれも、含まれている固形成分が少なければ、また元々の付着が少なければ汚れの進行は遅いと言えます。